タンパク質の粘りを出す
毎週木曜の連載も、いよいよ今週で3回目となった。今回は、生粉打ちがどうして繋がるかという理論的な話題。水回しの重要性に迫ってみた。
■強い付着力である液架橋力は、両刃の刃
初期の水回しを助けてくれるのも、鉢にこびりついて水回しの邪魔をするのも、この液架橋力という不思議なパワーだ。そば打ちは、水回しの時代と、こね〜ねりの時代を完璧に分けなければいけない。水回しが完了する前にタンパク質をつぶしたり、多加水でタンパク質を溶かしたりすると、とても厄介な生地になってしまう。
ポイントは、一気にこねてタンパク質の粘性を引き出す前に。生地にツヤを与えないことだ。
この玉は、北海道産「牡丹(という品種名)」の生粉打ちで、加水率は40.5%であった。
粉を手のひらで軽く抑える
おから状態に粉を寄せていく
ツヤを出さず棒状にまとめる
ボートのオールを漕ぐようにこねる
生地を90度回転させて継続する
3-4回回転させると、生地が丸みをおびる
そば打ちに興味をもった方、あるいはそば店を開業する計画の方は
築地そばアカデミーで手打ちそばの腕前を高めてください。さまざまなコースを用意しております。
道具については、11/8ごろの記事で触れる予定だが、待ちきれない方は、
川越そばの会のサイトをどうぞ。上記の小物もすべて扱っています。
■そば打ちセット選びについて
インターネット通販では、格安のそば打ちセットがたくさん販売されています。購入の前に、セットされている鉢がどのような大きさか、麺棒の材質や長さ、ノシ板の大きさはどうか、よく確認してください。
5人前・500gのそばを快適に打つためには、48cmの鉢、75cmの麺棒が2本、600x800mm以上のノシ板が最低限必要です。
これらのそば道具や、この画像のようなそば道具セットは、
川越そばの会のサイトで扱っております。
水回しをするためには、男性の両手を広げまま鉢の中に入らなければ作業できないわけですし、麺棒やノシ板があまりにも小さなものでは、そばを大きくのせないため、細い麺が作れなくなります。そば道具やそば打ちセットは、専門のサイトで購入するのが安心です。
本格的にはじめるなら、直径54cmのこね鉢がお薦め。
こちらで購入できます。
■今日からビギナー そば打ちの連動ブログバックナンバー
第1回 まず材料と道具、万全に
第2回 打ち始めの10秒が決め手
第3回 タンパク質の粘りを出す
第4回 体重のせ、じんわりこねる
第5回 のし均一に、厚さムラ防ぐ
第6回 道具をそろえる楽しみも
第7回 のしは体重かけ、攻める
第8回 生地、四角く平たくのす
第9回 生地を3回畳んで8層に
第10回 幅1.3mmで正確に切る
第11回 生地を3回畳んで8層に
第12回 そば前(日本酒)と薬味を楽しむ
第13回 粋なそばの手繰り方
このシリーズは、毎週木曜日の日経夕刊に掲載される記事と連動してアップしていきます、お楽しみに